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SEI子さんと学ぶ もっと知りたいあの製品技術

今月の注目製品
超硬合金や高硬度材の鏡面・高精度切削を可能にするダイヤモンド超精密工具 「BL-UPC」
製品データ

超精密切削工具「BL-UPC」って何?

「BL-UPC」は、(株)アライドマテリアルの得意とするナノメートルレベルの高い刃先形状精度を持つ切削工具です。刃先には、ナノ多結晶ダイヤモンド(スミダイヤ®バインダレス)※を採用し、従来は切削加工が不可能であった超硬合金などの高硬度材の超精密切削加工を可能にし、微細化、高精度化する加工要求に対応します。センサーレンズなどの光学特性・耐熱特性に優れたガラスレンズの金型材は、超硬合金などの高硬度材が主流で、近年はレンズの小型化、高精度化の要求が高くなっており、その型精度向上に当社の「BL-UPC」が役立っています。他にも、ガラスレンズ、プリズムシート大型ロール金型、導光板大型金型、その他高硬度、脆性材料の加工にも使用できます。

超精密切削工具「BL-UPC」の特長は?

●単結晶、多結晶ダイヤモンドにない優れた耐欠損性と耐摩耗性

●単結晶ダイヤモンドと同等の鋭利で精細な切れ刃

●異方性を持たず、結晶方位が原因の偏摩耗がない

により、超硬合金などの高硬度材の超精密切削加工を可能にします。従来研削加工や型彫放電加工後に手作業で研磨していた工程を、本製品を使用すれば1工程で終了させられるケースもあり、工程短縮によるコストダウンやリードタイム短縮に加え、熟練作業者を要せずサブミクロンレベルの高い形状精度を得ることも期待できます。

※ナノ多結晶ダイヤモンド(スミダイヤ®バインダレス)は住友電気工業(株)が開発した材料で、数十ナノメートルサイズの微細なダイヤモンド粒子が強固に直接結合したダイヤモンド単相のナノ多結晶体です。2015年2月18日に放送された「ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)」で『ニッポンの素材力』というテーマで、日本のモノづくりを支える人工ダイヤとして紹介されました。

技術者に聞きました
(株)アライドダイヤモンド
切削工具部 技術開発グループ
小林 篤史
小林 篤史

発売後のお客さまの反応は?

従来にない素材特性を持つ、ナノ多結晶ダイヤモンドを切削工具の刃先材料とし、耐摩耗性や欠損性が改善されたことで、工具寿命が2倍~10倍になる事例が得られています。また、これまで単結晶ダイヤモンド工具で切削不可能であった超硬合金などの硬脆材料金型の微細加工や、プラスチックレンズの金型を沢山加工したい、大面積のマイクロパターンを形成したいというニーズに応えられる工具としても引き合いが増加しています。あるお客さまからは、従来1つの金型を加工する際、複数の工具を用いなければ製作できなかったところに「BL-UPC」が登場したことにより、1本の工具で金型の加工ができたと好評を得ております。

現在注力中の新製品を紹介してください。

①CVD単結晶旋削チップ

住友電工ハードメタル(株)が開発した、CVD単結晶ダイヤモンド素材を用いた量産市場向け切削工具です。このCVD単結晶ダイヤモンドは、住友電工グループで応用開発中のハイポテンシャルでユニークな素材です。刃先を鋭利に仕上げることにより鏡面加工、バリ抑制加工を実現し、かつPCD切削工具の3倍の寿命が得られます。また、大きなCVD単結晶ダイヤを用いた工具を、低価格で供給することが可能であり、現在は自動車用アルミ部品分野、樹脂レンズなど量産市場に増販を計画中です。

②刃幅900ナノメートルの溝入れ加工用超精密ダイヤモンド切削工具

単結晶ダイヤモンド切削工具として、世界最小幅となる1マイクロメートル以下の微細溝入れバイトを開発しました。本製品は新開発の研磨装置と研磨ノウハウにより、刃先欠損の原因である振動を抑え、数十ナノメートルオーダの研磨量を制御することで製品化を達成しました。今後、バイオメディカル、半導体関連などの微細加工へ適用範囲の拡大を目指す予定です。


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