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2011年 研究開発事例篇

SEI CSR EYE 再生可能エネルギー活用のための未来型電力ネットワーク
「マイクロスマートグリッド実証システム」が稼働! 住友電工が2010年1月に開設したパワーシステム研究所では電力エネルギー技術と情報通信技術を統合した、電力インフラシステムの研究開発を行っています。開設以来「スマートグリッド」の研究開発を進めており、2011年6月にはそのひとつの成果として「マイクログリッド実証設備(Project-W)」を発表し大阪製作所内において実証実験を開始しました。今後、再生可能エネルギーの活用に不可欠なシステムとして期待される未来型電力ネットワークの概要をご紹介します。
スマートグリッドの「マイクロ」で 「インテリジェント」なパッケージ

電力の流れを供給側、需要側の双方から制御する“賢い電力ネットワーク”の構築。昨年ご紹介したスマートグリッドは、再生可能エネルギーの活用が急務となった現在の日本において、注目度を増しています。今回私たちが開発したのは、スマートグリッドの研究を実用化に向けてさらに一歩進めた「マイクロスマートグリッド実証システム」です。これは太陽光発電装置と小型風力発電装置、電力貯蔵用の小型電池やパワーコンディショナーなどの制御機器を、総長1kmの直流(DC)電力ケーブルで連結した非常にコンパクトな電力ネットワークです。エネルギー源は製作所内で得られる太陽光と風力のみ。自然由来の不安定なエネルギーの発電量と消費量を監視・制御し、その変動を蓄電池で吸収するエネルギーマネジメントシステム(EMS)により、効率的で安定的な電力利用を実現しています。

また「DC Link」という直流連系方式を採用したことも特徴のひとつ。直流/交流の変換によるエネルギーロスやケーブルの送電ロスを低減し、EMSと直流連系方式により約10%程度の省エネ効果を見込んでいます。コンパクトではありますが、今回のシステムには当社独自の通信技術や制御技術、そして安全性能が凝縮されています。商用電力系統から独立した、再生可能エネルギー安定利用のための電力システムのひな形とも言え、発表以来大きな反響をいただいています。実際に発電した電力は製作所内の一部の照明や電化製品、EV充電ステーションの電力として活用されています。今後、さまざまな気象条件と発電量の関連性を含めてデータを蓄積、解析し、本システムの有効性を約一年かけて実証する予定です。

スマートグリッド

人工知能や通信機能を搭載した計測機器等を設置し、電力の流れを供給側・需要側の両方から自動的に調整する機能を持たせることにより、最適化できる送電網
「Ingenious Power System TM」として、 未来へ

今後も研究開発により得られる電力システム関連製品は、順次このマイクロスマートグリッド実証設備において実証評価を行い、製品化へとつなげていきます。私たちはこのシステムを「Ingenious Power System TM」というブランドで展開し、これからのエネルギー政策を注視しながら、戸建住宅からコミュニティレベル、そして町づくりにいたるまで多様なニーズに対応していきます。スマートグリッドをはじめとした電力インフラは、21世紀の新しい社会、そしてエネルギーを形づくる重要な分野です。当社にとっても社会に非常に近い新領域と言えるでしょう。

「 for Society, for SUMITOMO ELECTRIC 」-----その言葉を胸に、これからもまず社会へ貢献できる私たちであることを目指します。そして当社の成長発展のフェーズは、いつでも社会の成長発展のフェーズとともにあることを、目指していきたいと考えています。

※2011年7月取材
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